【幸せの秘訣】

2017年4月4日

 

「今」「ここ」にあり「味わいつくすこと」

 

昔禅の修行をしていた時、聞いた話です。

 

ある弟子が老師に聞きました。

「幸せの秘訣はなんでしょうか?」

 

すると老師は、次のような話をし始めたそうです。

 

「ある日男が森を歩いているとトラに出くわしたそうです。必死の思いで男は逃げます。逃げたのは良かったですが、逃げた先は崖。トラが近寄ってくるので、男は崖っぷちに立たされ、崖から落ちてしまいます。落ちる途中に木の根っこをみつけ男はその木の根っこに捉まります。しかし、ぶら下がっている木の根っこをみると、なんとネズミが根っこをかじっているではないですか。崖の下は果てしなく下にあり、崖の上ではまだよだれを垂らした凶暴なトラが。やっとの思いでぶら下がっている根っこは、ネズミにかじられており今にもきれんばかり。ふと、目の前をみると、そこに美味しそうなイチゴが・・・。さて、窮地に置かれた男はどんな行動をとったと思いますか?」

 

弟子は、さっぱりわかりません。

 

すると、老師は次のように答えます。

「その男は、上も下も横もみず、目の前にあった美味しそうなイチゴを取り、思う存分味わったのです」

 

弟子は「老師、それが幸福と何の関係があるのでしょうか?」と聞きました。

 

老師は次のように答えたと言います。

 

「人は、生きているといろいろ大変なこともあり、心は過去や未来に常に生きています。そして、目の前にある幸福があってもなかなか見えず味わっていません。」

 

「あなたは今目の前にある物事(人)をどれだけ味わっていますか?」

「目の前にある物事(人)に気づいていますか?」

「目の前にある物事(人)を全て当然と見ていないですか?」

 

「目の前に存在するもの(人)で当たり前は一つもなく、全てに感謝することで世界が違って見えるようになります。」

「幸福とは、どんな窮地に置かれても静観する心(平常心)を忘れず、今を生き心身一体となって目の前にある物事(人)を感謝のうちに味わい尽くせる心意気にあるのです」

 

感謝、「今」「ここ」にあり「味わいつくすこと」に幸せの秘訣はあるようです。